The side of Paradise ”最後に奪う者”


許して欲しいのは自分のほうだ。

あの時からずっと許しを請いたかったのは。

涼はくちびるを一瞬引いた。


「あなたは?」


綺樹は意味がわからなかったらしいが、理解すると笑った。


「やっぱり聞いていないんじゃないか。
 言ったろ。
 途中で修正しなくてはいけなかったのに、追い込んだって。
 私のミスだったって」

「そういうもんじゃない」


涼は顔を背けた。

その痛そうな横顔に綺樹の眦が優しくなった。


「ばかだねえ。
 なぜ私がこの話をしたと思う?
 もうおまえとは周囲の状況や、気持ちの上で恋愛関係にはなれないけれど、友人関係では続けていきたいんだ。
 だから本当は話さなくていいことを、話しているんじゃないか」