「大丈夫。 大した事無い」 涼が離さないのに、もう片方の手で涼の腕を離そうと押す。 「聞いているなら、どうして私がああいう態度をとったか理解できたか?」 覗き込むように淡い瞳が見つめてくる。 「ああ」 涼はその瞳を食い入るように見つめかえしていた。 「じゃあ、許せるか?」 許せるかだって? 許せない。 あんなにも苦しんだ。 あなたが抱きしめてくれて、記憶の無い昔のように甘えてくれない限り。 でもそんなことは言えない。