The side of Paradise ”最後に奪う者”


涼はそっちのほうが気が気でなかった。


「この二つがあったから、おまえが私のことを知っても、ああいう態度をとった。
 おまえは私を」


言葉が切れて、気弱そうな表情を一瞬だけのぞかせる。


「愛する、のを止めたがっていたし、解放されたがっていた。
 だったら私は関わらないほうがいいだろう?」


最後は同意を求めるように微笑しながら顔を傾ける。


「でもおまえの性格がわかっているのに、あのやり方で突っ走ったのは不味かったよな。
 途中で修正をしないで、おまえを追い込んでしまった。
 私が弱いから、間違った計画を無理に押し通してしまった。
 私のミスだ。
 だから、悪かった」


駄目だ、限界だ。

涼は綺樹の手首を掴むと自分のグラスを近づけた。