The side of Paradise ”最後に奪う者”


「ただやっぱりウルゴイティを継いだり、ダバリードの仕事をやっていたりすると色々支障が出てきてね。
 おまえを諦めることにしたんだ。
 そうしたらおまえが戻ってきた」


ちらりと見上げて微笑した。


「私はやめとけっていったんだ。
 そしたら、止められるものなら止めてるって言われた」


グラスに口をつけて見上げている目が笑っている。

もう片手で人差し指を立てた。


「それが一つ目。
 で、まあ結局再婚となり、その後腫瘍が見つかり医者に説明を受けた。
 腫瘍を取り除くことによって、性質や趣向が変わる恐れがあり、記憶も混乱する可能性がある。
 で、二人して思ったんだ。
 なるほど、止めたくても止められないのは腫瘍のせいだろうって。
 元々おまえの好みの女性から言うと私は程遠い。
 私と結婚したくなるのも腫瘍の性だ。
 ならば手術の後、夫婦でいることは二人とも不幸だ。
 だから手術の前日に、合意の上で離婚した」