「機嫌を損ね、伯爵の地位を剥奪されるのを、何しろ恐れている。 時間の問題だろ。 私でも抑えきれない」 フェリックスは諦め調子だったが、さやかは違った。 「フェリックス。 あなたの気持ちの整理はついたのかしら?」 一瞬沈黙になった。 「なんのことだ?」 隠し切れない固い声。 さやかはころころと笑った。 「まあ、いいわ。 フェリックス。 結婚しましょう」