もし出席していても、近くでその瞳を覗きこめることなど無い。
彼女が何を見ているのか、何を考えているのか、見られることは無い。
遠くからでも。
でも、遠くからで構わないから見てみたかった。
どんな男が彼女のお気に入りで、エスコート役を任されるのか。
いや、そんなのは見たくない。
会場の豪華客船に入った時は、考えが乱れて自分自身で訳わからなくなり、
全ての扉を閉じて頑なになるしかなかった。
やっぱりスケールが違う。
涼はパーティに出て舌を巻いた。
招かれている客人に世界の国賓も混じっていた。
さやかに挨拶を済ませ、失礼が無い程度にその場に留まってから、甲板の出ることにした。
会場にいると、いつ彼女を見てしまうのかと構えていて疲れる。

