The side of Paradise ”最後に奪う者”


「おまえも協力しろよ」


綺樹が力なく笑っている。


「泣く時に一人なのはもう嫌なんだ。
隣に居てくれればいいから」


成介は目を閉じた。

この時だけかなり後悔した。


「わかりました。
 ただ社長の前でその役目をするのは勘弁してくださいよ」


軽口っぽく言うと、綺樹が笑ったのが聞こえてきた。

それが少し救いだった。