「一度、ご覧になってみたらいかがでしょうかね。
あなたが大事だから解放してやるといった、その結果を。
自分の身の方が可愛いのは当然です。
最初からそう言っていて欲しかったですね」
傷つける積もりで言った。
成介は出方を待った。
「そうだな。
確かに」
静かな声だった。
「いつしか涼の解放でなくて、自分の守りに入っていたな」
逡巡している空気が伝わってくる。
「涼の性格を良く知っているのに、こんな計画で突っ走ることは無かった。
修正しなくては行けなかったのに」
ちょっと言葉をとぎらせる。
「ごめんな」
成介は後味が悪くなる。

