「救ってやってくれませんかね」 「無理だ」 即答だった。 大きく息を吸う音がする。 「考えてみてくれ、成介。 1回目の結婚の時と同じならば、私じゃ無理だ。 職を解いて、放浪させてやれよ。 あいつに社長業は向いていないんだから」 そっちの方向は困る。 成介は頭を巡らせる。 「そうじゃないでしょ。 あなたは分かっているはずだ。 前回は社長業のストレスで負に引っ張られて、あなたにどう向き合えばいいか分からずの、二重のスパイラルでしたが、今回はあなただけです」