「それであなたは平気ですか?」 「そういう。 状態なのか?」 ややためらいがちな問いかけだった。 「です」 重い沈黙が受話器の向こうであった。 綺樹が予感していなかったといえば嘘だ。 この部屋で無理やりに抱かれた時を思い出す。 やっていることと裏腹に、涼の様子は捨てられた子のようだった。 必死に探し、追いすがる。 綺樹は目を閉じた。 私は、涼にまた捨てられた思いをさせてしまったのだろうか。 長い沈黙に、成介は静かに言った。