綺樹の声が一気に固くなったのに成介は眉を動かした。 「結果が出たんだ。 過程はどうでもいいだろ」 声が元に戻って、何でもなさそうな雰囲気を出している。 これは。 成介は寄りかかっていた椅子の背から身を起した。 これは掛けてみる価値がありそうだ。 「あなたと1回目に結婚した頃の社長の状態を覚えていますか?」 綺樹が黙り込んだ。 「ああ」 「あれに冷酷非情な感じを足してみてください。 はい、どんな感じでしょう?」 「最悪だな」 しぶしぶと答えがある。