* 昼間はよかった。 仕事に追われて気持ちが紛れた。 西園寺の屋敷に戻ってからが地獄だった。 地獄。 それしか言いようが無かった。 執事の藤原が心配しているのもわかっていたが、気遣いできる余裕が無かった。 気遣いといえば、成介が全てを察して、一切綺樹に関して口にしないのに、 安堵する反面、忌々しかった。 最後、彼女に忘れると言った。 その積もりで考えないようにするのに。