The side of Paradise ”最後に奪う者”


   *

昼間はよかった。

仕事に追われて気持ちが紛れた。

西園寺の屋敷に戻ってからが地獄だった。

地獄。

それしか言いようが無かった。

執事の藤原が心配しているのもわかっていたが、気遣いできる余裕が無かった。

気遣いといえば、成介が全てを察して、一切綺樹に関して口にしないのに、
安堵する反面、忌々しかった。

最後、彼女に忘れると言った。

その積もりで考えないようにするのに。