インドの携帯事業が一息ついたら、少し休暇を与え、涼との生活を楽しませてやろうと思っていた。 こういうことになろうとは。 さやかは電話の相手が出るのを待つ。 「はい」 「私よ」 「女王か。 綺樹がどうかしたか?」 フェリックスの言葉にさやかは笑った。 相手だけに単刀直入に聞く。 「綺樹の今度の結婚相手はあなたなのかしら?」 これだけぞっこんなのだから。 だがフェリックスの沈黙は奇妙だった。 さやかはそうでないことをそれで知った。 「誰なの?」