The side of Paradise ”最後に奪う者”


   *

こちらの気持ちを知らないとは言わせない。

なぜ受け入れてもらえないのか。

そうでなくても、なぜこんなに強硬的に拒絶されるのか。

自分は涼なのに。

存在そのものを認めてもらえない。

調印で彼女を見てからずっと苦しかった。

苦しみが積もりすぎて憎しみに変わっていく。

あの後、涼はアパートの正面玄関を入り、綺樹の部屋のドアの前で、ただひたすら待っていた。

天井の電灯を見つめ続ける。

小さな羽虫が何度もぶつかっていた。

やがて死ぬだろう。

力尽きて。