* こちらの気持ちを知らないとは言わせない。 なぜ受け入れてもらえないのか。 そうでなくても、なぜこんなに強硬的に拒絶されるのか。 自分は涼なのに。 存在そのものを認めてもらえない。 調印で彼女を見てからずっと苦しかった。 苦しみが積もりすぎて憎しみに変わっていく。 あの後、涼はアパートの正面玄関を入り、綺樹の部屋のドアの前で、ただひたすら待っていた。 天井の電灯を見つめ続ける。 小さな羽虫が何度もぶつかっていた。 やがて死ぬだろう。 力尽きて。