街路樹に手を付いて上体を屈める。 なぜだ。 憎みあって別れたわけではないのに。 あなたの希望で生き延びたのに。 だから記憶を失ったのに。 なぜこんなに無視され、拒否されるんだ。 「うわあっ」 涼は吠えた。 指が震える。 血が突き破ってきそうだった。