The side of Paradise ”最後に奪う者”


「どうして。
 どうして僕たちは別れる必要があったのでしょう。
 記憶混乱だけで」


綺樹の顔が全くの無表情になり、硬くなった。


「それは私と涼の問題だ。
 あなたに話す必要は無い」


突っぱねる口調で言うと、路上に止めてある車へ向かっていく。


「僕は涼だ」


綺樹は乗り込んで行ってしまった。

無視だ。

ビジネスを抜いたら何も無いって?

私と涼の問題だって?

涼は僕だ。

違うならば、じゃあ僕は誰なんだ。

息苦しかった。