The side of Paradise ”最後に奪う者”


無表情になってから、不愉快そうに眉が動く。

顔を戻すとそのまま再び歩き出した。

涼はその腕を掴んだ。


「失礼ですよ」


綺樹が静かに言った。


「話し合いをしませんか」


綺樹は冷ややかに涼の目を見た。


「話し合いとは、双方に言いたいことがある時のことを言うのでは?
 私にはあなたに何も話すことはない。
 それに。
 ダバリードを離れた今、あなたは全く関係が無い人だ。
 こうしていらっしゃるのは何を誤解されているのか?
 不愉快です」


涼の顔から血の気が引き、腕を離した。