「その場合は多分、あなたに諦めが付きますよ」
「そうか。
確かに前例から行くと、いつだって私の方が傷が深いな。
でもそうしろっていうんだろ」
「こちらは社長さえ無事であればいいんです」
綺樹は笑った。
「今まででも十分、諦めが付くような態度を取っているつもりなんだけど、甘いのかな?」
「それが余計にのぼせる原因かもしれませんね。
はっきり言ってお手上げ状態です。
とにかく。
この状態は良くありませんから、どっちかの結論をつけさせてやってくれませんかね」
「わかった」
そう言って電話を切ったが、どっちかの結論なんて、最初から決まっている。
綺樹は疲労を感じて目を閉じて、ふと気が付いた。