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態度は変わらなかったが、2、3日は成介と視線を合わせようとしなかった。

成介は早急にどちらかの結論がつかなければ、西園寺は潰れるのではないかと本気で思うようになってきた。


「国が傾くではなくて、会社が傾くだ」


呟いて電話をすることにした。


「本当に困っているんです」


綺樹はしばらく無言だった。


「公私混同する奴なんかに会社を任せるからじゃないか?
 退任させてしまえよ」

「させてもいいですけど、そうなった時、あの人どうなりますかね。
 身内の生きる屍はあまり見たくありませんね。
 あなただって予想できるでしょう」

「ようは、私に受け入れろって言うんだろ。
 でも今の涼の状態で受け入れたって、昔の繰り返しだ。
 その場合だってボロボロになるんじゃないか?」