何度かけても留守電になるのに、綺樹がいらいらしている。
「おまえの社長教育はどうなってるんだよ」
成介は肩をすくめた。
綺樹には言われたくない。
やっと繋がった時には、思わずののしりそうになった。
無言のままだ。
綺樹もしばし黙り込んだ。
「そろそろ成田に行くのですが、送ってもらえませんか?」
静かに言うと、間があった後に電話が切れた。
「人の所の社長をアッシー代わりにしないで下さいよ」
綺樹は肩をすくめた。
「単語の意味が解らない。
でも、戻ってこさせるのに効力があるだろ?」
綺樹は窓辺によって下界を見下ろした。

