The side of Paradise ”最後に奪う者”


「成介。
 さっきから訳がわからないんだけど」

「すっごくわかりやすいと思いますが」


綺樹は瞬後、息を吐くように笑い出した。


「あまりにも突飛で思いつかなかったよ。
 涼と結婚しろって?
 無いな」

「なぜです?」


綺樹は驚いた。


「なぜって」


内線が響いた。

成介は壁際によると受話器をとった。

飛行機のチケットがとれたらしい。

4時間後だ。

綺樹は嬉しそうだが、そんな早いのを取る自分の部下を、成介は罵りたくなった。

詳細な指示を出さなかった自分の不備なのだからしょうがない。

成介は時計を見上げた。