The side of Paradise ”最後に奪う者”


涼が会議から戻ったら第3応接室に来るように、部下に指示をした。

なんとか時間稼ぎをしなくては。

成介が入っていくと、綺樹はぼんやりとした様子で座っていた。


「さやかは?」

「お帰りになりました」


しばらく成介の顔を眺めている。


「帰った?」

「寝ていますとお伝えしたら、大学はまだ休みだから置いていくとのことでした」


やっと頭が回りだしたらしい。


「今、何時?」


壁にかかっている時計に気が付いた。

なんてことだ。

さやかのフライトには間にあわない。

力なく笑った。