The side of Paradise ”最後に奪う者”


とにかく話し合いをさせないと、埒が明かない。

綺樹が涼を今もって愛しているのは明白だ。

だからここまで意固地になって切り離そうとしている。

でなかったら、適当な距離で適当な感じで、友達のように付き合っているはず。

反対にだから彼女が切り離せなくなってしまえばいい。

押し倒すぐらいすればいいかもしれない。

全く彼女に対しては、未だに10代の少年のような振る舞いになるのだから。

どうして彼女の感情を見透かして、行動をとれないかな。


「ああ、全く、勘弁してくれ」


成介が部下の前で叫んでいると内線が鳴った。


「成介?」


そんなぼんやりとした無防備な声で呼ばれても困る。

涼を呼んでくれ。


「いま、行きます」