The side of Paradise ”最後に奪う者”


あれほど明快に来ないと言っていたから、6月かと諦めていた矢先の今日だった。

さやかだけ、と思ってもいた。

成介も土壇場までわからなかったらしい。

涼はドアをノックした。

何の応答も無いのに静かに開けた。

降ろしたブラインドーの羽の隙間から光のみで、部屋はほのかな薄暗さだった。

入り口に背にして置いてある手前のソファーにいた。

体を横にして眠っている。

彼女の存在を認めると、空調が暑すぎる気がして切った。

部屋が静かになると、寝息が聞こえるようになって正直困った。

あらぬ方向へ思考が進んでしまう。

涼は顔が見える位置まで移動する。