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予定通り30分でさやかは西園寺を後にすべく1階に降りた。
車のドアを開けられ、中に誰も居ないのに振り返った。
「綺樹は?」
「応接室で睡眠中です」
成介はしれっと答えた。
さやかと涼はしばし成介をみつめた。
「まあ、そう。
じゃあ」
涼を見上げた。
「置いていくわ。
まだ大学は休みだもの」
答えをまたずにさやかは車に乗り込んで行ってしまった。
「第3応接室です」
涼は成介に振り返った。
「一番、人目につきません。
次の会議には間に合ってくださいよ」
それだけ言って成介はとっととビルに入っていった。

