冬の朝だった。

しとしとと冷たい雨。

NYの街がけぶっている。

綺樹はコーヒーカップを片手に、窓からバルコニーを眺めていた。

憂鬱に拍車がかかる。

天気さえ良ければ、広いリビングから音楽を流し、バルコニーで朝食のコーヒーを飲む。

朝食の時だけではない、そのバルコニーのソファーに横になり、微かに流れ
る音楽を聞きながら、時間を過ごすのが好きだった。