「大丈夫だよ。翔。俺は、翔にちゃんと興味持ってるからね」

日向さんが、ニコニコして翔君の事を見ていた。

「本当に?!」

「うん」

「ありがとう!日向兄ちゃん!大好き!」

翔君は、また日向さんに抱きついていた。

「イチャイチャするなら、外でしてきて。ついでに、ホテルにでも行ってくれば?見てるコッチが鳥肌たってくる」

裕君が、冷たい声で言葉を発しながら、シッシッと、虫扱いをした。

「じゃあ、翔。ホテルに行っちゃおうか」

「うん、うん!……でも、なんでホテル?僕達、男同士だよ?」

ポケーっとした表情で、翔君が日向さんに聞いていた。

日向さんは、苦笑いを零して。

「………翔は、そういう意味分かってなかったんだ……」

「………………?」

「裕は、もう分かっているんだね?」

日向さんが、チラッと裕君に視線をうつした。


「…日向に無理矢理聞かされたからね」

「ははっ……。裕のあの冷たい視線と言ったら…、氷より冷たかったよ」

「僕が無視してるのに、ずっと話してるし。正直、血飲み干して殺してやろうかと思ってた」

す、凄い怖いことをサラリと言いましたね……。


「あら、怖い怖い。でも、残念。僕の血は、とてつもなくマズいよ」

「標準じゃん」

「そうかもね」

「でも、まぁ……。今は優がいるし。今の生活
に困りはしないよね」

翔君が、私にニコッと微笑んだ。私は、少し苦笑いをする。

「…そうだねー。…じゃあ、翔。今度、二人でBC優さんの事襲っちゃおうか」

「うん!血沢山飲みたい!」

「………………」

こ、怖くて何も言えません……。

「バカじゃないの?優が今回、なんで風邪引いたか考えてから、そういうバカなこと言いなよ」

裕君が、困った表情で、呟く。

「え?それって、BC優さんがバカだったからじゃないの?」

日向さんが、それ以外なんの答えがあるの?って顔をしていた。

「これだから、僕は日向が嫌いなんだよ。……藍と嶺美と愛希が、優の血を飲んだから。体がビックリして、風邪を引いたんだよ」

「へぇ……。BC優さんがバカだったからじゃ、ないんだ…」

「違うよ。…ていうか、バカバカ言ってたら、優が本物のバカになるじゃん」


裕君が、私の事を助けてくれました(多分)。

「はい、はい。……それじゃあ、僕はもう、部屋に戻って寝ますね。BC優さん。早く風邪治して、血を飲ませて下さいね。…では、おやすみなさい」

日向さんは、部屋をでる前にお辞儀して。部屋から、出て行った。

「あ、日向兄ちゃん待ってよー!…じゃあ!優!また明日ね!風邪治して、血を飲ませてね!」

翔君は、バタバタと慌てながら部屋から、出て行った。

そして、廊下から大きな声で。『日向兄ちゃーん、一緒に寝よー!』と、聞こえました。仲が凄い良いと改めて思いました。

「「……………………」」

日向さんと翔君が出て行った部屋は。少し空気の雰囲気が悪かった。

「ぇっと……。…きょ、今日凄い良い天気ですよね」

「「そうだね」」

「「……ちょっと、マネしないで」」

見事に、愛希君と裕君の言葉はハモる。さすが、三つ子ですね…。

「…………ふふっ」

「…なんで、笑ってるの?」

裕君が、私の方に視線を向けた。


「…意味わかんないんだけど?」

愛希君は、無表情で私へと視線をうつす。

「あ、ごめんなさい……」

「……今日が風邪で命拾いしたね?優…」

「愛希の言うとおり。…本当だよ?今度からは気をつけてね」

「はい……」


「……じゃあ、僕はもう帰るね。優、またね」

愛希君が手を振ってから。私の部屋から、出て行った。

「……僕も行こっかな。…優、また来るね」

裕君は、私の頭を撫でて。部屋から、静かに出て行った。

一人になった寂しい部屋で、私は独り言をもらす。


「私って、やっぱりバカなのかな……?」