今、思えば私の両親は私の事を好きじゃなかったと思う。……と、言ってもコレっていう理由は、無いけれど。

だけど、一つ言える事は…。…バカの勘は意外と当たるんです。

両親と遊んだ思い出もない。両親と一緒に写っている写真一枚もない。…両親の形見もなにも、何一つ。両親が居たっていう証拠がなかった。

これから分かることは…、両親は私に何も残したくないくらいに、私が嫌いだったって事が思える。


でも、まぁ…私の勝手な思い込みかも知れないけど……。


あれから、少し寝て起きた私は、誰もいない自分の部屋で。考えても答えが出ない事をグルグルと考える。

「私の両親は今、どこに居るんだろ……」

おばさんは、亡くなったって言ってたけれど。

この事だけは信じたくない。信じれない…。一回だけでも、また会いたいと思っているから。

「……って、暗い事を考えないようにしないとな………」

だって今まで優しいおばさんに育ててもらって。今は、優しい人達と一緒に住めて。

私以上に、幸せな人は世界中探しても少ないと思っている。

だって、私はとても幸せだから。

「……今年は、新しい高校で友達を沢山作って…。その友達と一緒に遊んで…」

一つ二つ…と、今年やりたいこと、したいことを指で数えていく。

指が沢山あっても足りなくて。

でも、やっぱり一番したいことは。

「……初恋…なんだよな」

恋という恋をしてないような気がする……。この年にもなって。初恋もまだだなんて。

恥ずかしくて、誰にも言えないよ……。

「初恋?…優、初恋したことないの?」

頭上から、聞き覚えの声が聞こえ、私は思わず叫ぶ。

「ひゃぁ………?!……ひ、裕君?!」

その声の主は、裕君だった。…裕君の手には、晩ご飯がのったお盆。

「ん?なに?」

裕君は、キョトンとした顔で、お盆をベットの隣にある小さな机にそっと置いた。

「い、いつからそこに?!」

「ん?今、入ってきた。だって、何回ノックしても気付かないんだもん……。死んでるのかな?って思って入ってきたんだ」

「し、死んでるのかな……って……」

いくら何でも、酷い誤解の仕方ですね……。

「だって、物音一つしないんだもん。誰でも勘違いしちゃうよ」

「そ、そうですよね…。今度から気をつけます」

私が、反省すると裕君は軽く微笑んだ。

「精々気をつけて。…優、ご飯食べれる?」

「…はい!」

熱も下がったし…。お腹もペコペコ!

「そう。…じゃあ、……はい。僕が凄い頑張って作ったんだ!!…味見はしてないから、味はよくわからないけど、食べて!食べて!」

「そうなんですか?…ありがとうございます」

私なんかの為に、頑張ってくれたなんて……。

「いーえ……」

私は、裕君からお皿を渡してもらい、ベットの上で、手を合わせた。

裕君からの、視線が凄い痛い…。

私は、チラッと裕君が作ったお粥を見る。

見た目は、凄い美味しそう。…ってことは、絶対味は美味しいよね。

「……いただきます」

「どうぞ」

私は、美味しそうなお粥をすくい、パクッと口に含んだ。