「あの……。わ、私、帰してもらえます……?」


私はおじさんと視線を合わせて聞いた。

「うん。良いよ。……でも、一つお願いが、あるんだよ」


おじさんは、椅子から立ち上がりニッコリ微笑む。


「なんですか?」


「ちょっと、お嬢さんの血を検査しても良いかな?」

血の検査?………私、風邪ひいてないけど……?

「え?」


「ちょっと、お嬢さんの血をおじさんに、とらせてもらいたいんだ。良いかな?」


「ぁ、はい……?」


「じゃあ、ちょっと待っててね。検査機持ってくるから……」


「は、はい………?」

おじさんは、一旦部屋から出て行った。数分位経った頃、おじさんは不思議な機械を持ってきた。


血の検査……?でも、なんのために……?


「ちょっと痛いけど、我慢してくれるかな?」


「は、はい。我慢します!」


「じゃあ、腕まくりをしてから腕を出してくれるかい?」


「は、はい………」

私は腕まくりをして、おじさんに向かって腕を差し出した。おじさんは太い針を私の腕に、刺そうとする。

「……………ヒッ」

私は、恐怖で思わず腕を引っ込めてしまった。


「ほんの少し、我慢して……?ね?お願い……」


おじさんは、微笑んでいるけど……。どこか、企んでいる微笑みに私は見えた。


「………………っ、…………は、はい……」

私はゆっくり腕を差し出す。おじさんは温かい手で、私の腕をガッチリと掴む。


ゆっくりと、おじさんは私の腕に太い針を刺していく。

ジリジリと、くる痛みに私は必死に我慢する。


ピピッピピッと、機械音が部屋に響く。おじさんは私の腕から針を抜いて、包帯を巻いてくれた。


「ごめんね?痛かったね………」


おじさんは私の頭を優しく撫でてから、椅子に座った。


「だ、大丈夫です!!」

私は元気さをアピールする為に、笑顔で腕をブンブンふった。

おじさんが、ニッコリ微笑みながら、機械に出ている私の血の結果を確認していた。


「……ふふっ、なら良かっ。……………?!」


おじさんは、機械の結果を見て顔色を変えた。

機械には、『SSA』と、表示されていた。