「……………、あ、あの。……パーティー会場って、ドコですか?」

真っ赤なドレスを着て、メイクを初めて体験して、長い黒の髪の毛に軽くパーマをかけて、フワフワになった私。

困ったことに、パーティー会場の場所が分からないんです!


「あ、あのー………」

私は、一人、広い部屋でうろちょろしている。

メイドさん達は、忙しいのか私の声が耳に届いてないようですね……。

「ど、どうしよう………」

私は、悩んだ末、一回広い部屋から出てリビングに向かった。


「うぅ……、誰もいないよ……」

泣きべそかきながら、リビングの真ん中で辺りを見渡す。

初めての少し高いヒールで、靴擦れしていて、かかとがヒリヒリとして痛い。

「ドレスも初めてだから、歩きづらいよ……」

なんか、色々感情が一杯で泣きそう。

そう弱気になっているときに、私はバランスを崩して後ろに倒れそうになる。

「きゃぁっ…………」

倒れる!と、思い目をギュッと瞑る。

フワッと、紅茶の香りが私の鼻をとおった。

あれ?痛みがこない……?

私が、不思議に思ってゆっくり目を開けると。スーツ姿の薫瑠さんに腰に腕を回されていて、私は倒れずにすんだ。


「………あ、薫瑠さん………」

「……大丈夫ですか?」

私は、薫瑠さんに立たせてもらう。


「無理は、いけませんよ」

「すいません……。ありがとうございます」

薫瑠さんは、優しく微笑んで私の頭を優しく撫でた。

「いえ。……ドレス、似合ってますね」

「えぇ!?そんなこと無いですよ!薫瑠さんこそ、スーツ似合ってますよ!」

私は、両手を横にブンブンふる。

「ありがとうございます。優さん、一緒にパーティー会場に行きましょうか?」

「本当ですか?ありがとうございます!」

「はい。……お手をどうぞ、姫」

ニコッと、薫瑠さんは、私に手を差し出した。私は、照れ笑いしてから薫瑠さんの手をとった。


パーティー会場に着くと。薫瑠さんは、人に呼ばれて、私から離れた。

パーティー会場は沢山の人で、賑わっていた。私は、どうすれば良いのか分からなくて、パーティー会場を適当に歩き回る。

「はい、どうぞ」

「あ、ありがとうございます……」

執事さんは、私にリンゴジュースを渡してくれた。私は、一口リンゴジュースを飲んで喉を潤した。


「美味しい……」

「あ、優さん!…ドレス、やっぱり似合ってるよ」

私が、小さな幸せを感じてると、おじさんが私に気づき声をかけてきた。

「えへへ…、ありがとうございます」

「そうそう。この後、ダンスをする予定だから、相手の人を見つけておくと良いよ」

おじさんは、時計を指差す。

もう少しで、八時……。おじさんが言いたいのは、八時までに相手の人を見つけること。

「え、私ダンスしたこと無いんですけど……」

急にダンスと言われても……。出来ないよ……。

「大丈夫だよ。ここにいる人達は、ダンスが上手だから。優さんが、踊りやすいように教えてくれるよ」

「そ、そうですかね…」

さっきから、兄弟の方達以外、私の知らない人達ばかり……。

「うん。それに、優さんは可愛いから、いるだけで誘われるよ」

「だと良いんですけどね……」

私、可愛くないし……。誰も、誘ってくれるわけ……。

「じゃあ、頑張ってね」

おじさんは、私の頭を優しく撫でて、どこかに行った。