「はぁ………。他には?」

「じゃあ、俺」


薫瑠さんが、手をあげる。

「ほい、薫瑠」

「優さんは、もし、ココにいる俺達兄弟が、ヴァンパイアって言われたら、この家から出て行きますか?」

「出て行きませんよ。だって、そんな事有り得ないですし」

「絶対に出て行きません?」

「はい!出て行きません!!」

私は、ニッコリ笑って堂々宣言する。

「そっか……、なら良いんです」

薫瑠さんも、私に、ニッコリ笑ってくれた。

「はいはーい!次、僕しつもーん!」

裕君が、満面の笑顔で手をはいはいとあげる。

「……ほら、裕」

「優は、僕と愛希どっちが好き?勿論、僕だよね?」

ニコニコ微笑む裕君は、少し怖かった。


「え?」

えぇえぇぇ………。


「なに言ってんの?優が選ぶのは、この僕だよ。ね?優……」

無表情で、私を睨む愛希君。私は、チラチラ左右を見て誰かに助けを求める。

だ、誰も視線があわないよ……。


「ぁの………」

「「僕だよね?」」

「わ、私は……。お、おじさんで……。や、優しいし…」

もう逃げ道が、おじさんしかいない!

「ん?それは、嬉しいね」

おじさんは、優しい微笑みを浮かべる。

「なんで?僕の方が、愛希より格好いいし優しいじゃんー!!」

裕君は、私の右隣にドカッと座って、私の肩を自分の方に抱き寄せる。

「は?なに言ってんの?裕のどこを見たら、優しいって言葉が出てくる訳?ちょっと、病院行ったら?結構きちゃってるよ?頭」

愛希君は、私の左隣に座って、私の腕を引っ張り、裕君から私を引き剥がす。

「うるさいなー!優に選ばれなかったからって、僕に八つ当たりしないでよ」

「裕だって選ばれなかったじゃん!」

「優は、恥ずかしくて言えなかっただけだし」

「裕の頭って、本当に幸せだね。羨ましいよ」

み、耳元でケンカしないでほしい……。耳が…、痛い………。

「はい、ケンカしなーい!!まぁまぁ、そこは。BC優さんは僕の物って事で、解決じゃん!」

日向さんは、私の手首を引っ張って私を立たせる。


「全然解決じゃない。実は本物のバカじゃないの?日向って」

「愛希に同感」


「はぁ……。お前ら、三人ともバカだよ」

「………きゃふ……」

藍さんが、私の服を引っ張り、おじさんに私を預ける。

「優さん、もうこのバカをほっといて、部屋に今日持ってきた着替えをいれてきなさい。藍、優さんを三階の部屋に案内してあげなさい。…あ、着替えのはいっている鞄は、もう部屋に置いてあるよ」

「あ、ありがとうございます!」

「ほら、早く藍。案内してあげなさい」


「は?なんで俺が……」

「……お前が、優さんにお前達の事を教えてあげなさい………」

おじさんが、真剣な表情で藍さんに言う。藍さんは、そんなおじさんから何かを確信したのか、一瞬真剣な表情をした。


「………………?」

「………、りょーかい。ほら、行くぞ。優」

「はい!」


藍さんは、一人で階段をあがっていく。私は、遅れないように藍さんの後を追った。