「連れ戻しに来たわけじゃないんだ?」 「はい」 私は、目の前の景色を見ながら答える。 なんて、言えばいいんだろう? というか、そもそも。 私は柊羽さんに、なにを言いたくてここに 来たの? それすら、私にはわからない。 ただ、放っておけない。 そう思ったから、来てみたものの、 柊羽さんの心の傷に触れずになにか元気の 出ることを言ってあげられる自信なんかない。 だけど、何もせずに教室に帰ってしまうのは 嫌だ。 ...私は私の、思ったままを言おう。