……って、なにそれ。どういうこと?
「……ねぇ、それ本気で言ってんの!? 危篤になった姉のもとに駆けつけずに、私は私物の最終処分? おかしくない?」
「……やっぱり、おかしいよね」
「バカじゃないの!? 最期のお別れすらさせないなんて、蛍ちゃん、天国に行ったらお父さんとお母さんに説教されるよ!?」
「……でも、お願いしたいの。静子」
「…………っ」
蛍ちゃんの、理想的な死の迎え方。
願いは何でも聞いてあげたい。
……最期、だから。
市瀬のおばあちゃんの話を思い出す。
悔いのない人生だったと蛍ちゃんが言えるように、私は我慢しないといけない。
「………分かったわよ。危篤になったらすぐに私の携帯に連絡するようにしといてよ。何が何でもこの計画、バレずに成功させてやるから」
悔しいけれど、悲しいけれど。
蛍ちゃんのために、私は自分の願いを後回しにする。


