帰るつもりで上げた腰を強制的に下ろされ、私はまた、蛍ちゃんと向かい合って話を始める。



「……もうすぐ死ぬってなに? 地球滅亡とか? ナントカの予言が的中するとか?」


「いやーそれがさぁ……。昨年の春に受けた人間ドックで肝臓に腫瘍が見つかりましてね」


「はいはい」


「精密検査をしたところ、それがどうも悪いヤツでして」


「あーそうですか」


「医者から即入院、即手術と言われたんですけど、逃げちゃいましてね」


「……はい?」


「気づけばもう1年。そろそろヤバそうです」


「…………」



ヘラヘラと笑いながら深刻な話。


いま蛍ちゃんの目の前にいるのが私じゃなくて、赤の他人であったならば。

きっと誰もが口を揃えて言うだろう。



“そういう不謹慎な冗談はやめなさい”



―――と。