……僕の結婚指輪。 “俺の指輪知らないか?” いつだったか。 いつも嵌めていた結婚指輪が、突然姿を消した。 “えー? 知らないよー?” 激怒するかと思いきや、蛍子は、興味なしといった感じで答えた。 あの時は正直、君にとって結婚指輪はそんなに軽いものだったのか? と面食らったけれど。 やっとその意味が分かった。 君の強くて悲しい遺志が込められた、その意味が。