「じゃあ、どこが好きなのよ?」


「うふふふー。声だよ、声!」


「……声!?」


「そう! 栗沢さんの声を初めて聞いたときに、一生、この人の声を聞いていたいって思ったの!」


「一生ってあんた……。結婚まで考えてるわけじゃないわよね?」


「え? 考えてるけど?」



……おいおいおい。おまえの脳内、何がどうなったら、結婚まで考えるんだ?


ましてや僕と君は、付き合ってもいないだろう?

もっと言わせてもらえば、君はこれまで、何度僕に振られた?

手はもちろん足の指を使っても、“梢ちゃん”の手と足の指を借りても、それでもまだ足りないくらいに振られ続けただろう?


……君はストーカーですか。