しかし、だ。 所詮、こいつは三枝なんだ。 「あたしと栗沢さん、2人だけの秘密なんですよ? 他の人に知られたらつまらないでしょう? だから、2人だけの秘密として大事に胸にしまっておくんです」 うふふふ、と、脳内お花畑全開の三枝が笑う。 ……もういい。こいつ、まじでもういい。 勝手にしてくれ。 呆れすぎて。 うんざりしすぎて。 僕は、幸せそうにあの日の余韻に浸る三枝をその場に残して応接室を出て行った。