しまった、と思った時は遅かった。
頭を上げた三枝はだらしのない、緩み切った表情をしている。
「……調子に乗るな。欠勤したことを責めるためにおまえを呼んだわけじゃない」
「えっ? じゃあ何ですか?」
「……俺が病院に連れて行ったこととか、食料買ったこととか、おまえ、絶対に他のヤツに言うなよ?」
言ったら……、と、軽く脅しをかけようとしたとき。
三枝はニヤリと笑って言う。
「言うわけないじゃないですか。梢ちゃんにすら言ってませんよ? あたしを甘く見ないでくださいね?」
三枝のくせに、その上から目線はなんだ。
……だけどこいつ。
意外と空気が読める、常識のあるヤツかも。
少しだけ、三枝を見直してみる。


