「くそっ、三枝のやつマジで半殺しにしてやる」 だいたいバカは風邪なんかひかないだろ。 仮病か? 39℃ってなんだよ。 ブツブツとそんな独り言を呟きながら会社を後にし、社員駐車場に止められた自分の車に乗り込む。 スーツのポケットには三枝の連絡先のメモ。 面倒なことはさっさと終わらせてしまおう。 そう思ってカバンからケータイを取り出し、三枝のケータイ番号を押す。 「…………」 数回のコールのあと、 『……もしもし』 弱り切った声が電話口に出た。