そして―――……
母さんの妄想通りの反抗期ではなかったけれど、中学2年のあたりから親がうざいと思うようになってきた。
父さんは、男子中学生の反抗期ってものを自身も経験しているからか、僕のことは遠くで見守るという姿勢を貫いた。
一方の母さんは、相も変わらずだった。
僕が反抗的な態度を取ると、「ザ・反抗期っすね!」なんて笑っておどける。
たぶん、イライラしている僕の気持ちを少しでも和らげようとしているつもりだったのだろうけど、それはまったくの逆効果だった。
母さんと話をしたくない。
一家団欒とかうっとうしい。
「うちのクソババァがさ……」
気づけば、友達との会話に出てくる母さんは“クソババァ”に成り下がっていた。
ほんとうにそう思っていたわけじゃない。
誰かが親のことを“クソババァ”“クソジジィ”と言えば、ついそれに同調してしまう。
愚かなことに、親のことをそう言っている自分がかっこいいとさえも思っていたのだ。


