春香のことを思うだけで涙が出た。
 だけどやっぱり素直じゃない俺は
 これからもずっとそうなんだろうって
 思う。



「白ちゃん...手が...」


「あ...」


 もう俺にも、タイムリミットが、
 どんどん近づいてた。



 
「春香。俺、もうタイムリミットみたい」


「やだっ!!行かないでっ、ここにいてよ
 白ちゃんっっ!!」



 カチッカチッと時計の音が響く中、
 ぬいぐるみの俺の手はどんどん白く
 
 まるで天使の羽のような白さに
 染まっていく。



「春香」


「っっ....何、白ちゃん?」




 春香の頭を撫でた。
 時間になると、俺は消えてしまうのかも
 しれない。

 その前に、春香に触れていたい。
 春香の感触を、忘れないように。




 カチッカチッカチッ――....



「俺、お前に会えてよかったよ」



「...うん....うんっ...私もっ」



 
 優しく微笑む俺の顔は、どうなって
 るだろうか?

 ちゃんと笑えてるだろうか??