なぜか、青年の声に君の声が重なった気がした。 そっと目を開け、空を仰ぎ見る。 わたしの影が、わたしじゃなくて―――― 「千夏、何してんの?」 「・・・っ、涼、君?」 君の姿に見えた。 いや、君の姿だったのかもしれない。 わたしの背後に立つ、あの姿に目を奪われた。 時が止まったように、わたしはその顔を見つめ続けた。