「……野!森野!!」 名前を呼ばれ、あたしはぱっと身体を起こした。 クラス中の人があたしを見て、笑っていた。 みんなの注目を集め、顔がぼっと熱くなるあたし。 「寝不足か、森野は」 教卓に立っている山ちゃんが笑いながらそう言った。 そうだ、あたしは今、授業中なのだ。 何だか変な夢を見てしまったけど、何とか学校へ来て、何とか授業を受けている。 「玲、大丈夫?」 隣の席の正樹君が心配そうにあたしを見た。 「うなされてたけど」 「ううん、平気」 努めて元気に振舞った。