静かになる車内。 いつの間にか車は目的地へ着いていたようだ。 輝はジャケットを脱ぎ、眼鏡を外し、ドアを開ける。 あたしもドアを開け…… そして、ダッシュで逃げようとした。 魔力が使えないなら、体力勝負だ。 大丈夫、あたしが本気になれば、人間には絶対負けない。 ……のに、 「逃げんじゃねぇ」 手をぎゅっと掴まれる。 その瞬間、やっぱり身体の力が抜けてしまうあたし。 あぁ……万事休すだ。