「学科試験は妖怪の特徴を書く問題で、それは藍ちゃんなら出来なくても大丈夫だから。」
佳那子に手を引かれそのまま部屋を出る。
今まで通ったことのない廊下を歩く。
何度も曲がり、鬼道学園は本当に入り組んでるなぁ、と藍は思った。
「藍ちゃんにとって重要なのは実技試験!部屋の中心にある石を子どもの河童に触らせないっていう試験なんだけど、これを成功できる人なんてほとんどいないから、これさえ成功出来ればたくさん点もらえるの。」
佳那子はある部屋の前で立ち止まる。
ふすまは閉まっている。
「ここが試験会場だから。この書類持っていれば大丈夫。」
藍の手に五枚ほどの紙が置かれる。
段々頭も覚醒してきて、藍もようやく状況が飲み込めてきた。
佳那子は藍に入学試験を受けさせようとしているのだ。
ここ数日彼女が慌ただしく走り回っていたのもこのためだろう。
藍は掃除係でも仕方ないかと諦めていたのだが、佳那子は諦めていなかった。
「藍ちゃんなら大丈夫だよ。」
「佳那子ちゃん。」
「ん?」
「ありがとう。」
二カッと笑った佳那子に背中を押され藍はふすまを開けた。


