言いたいことはそれだけだったのか、竹内天音は竹内蛍の方を向く。 蛍は姉とは目を合わせたくないのか、足元をじっと見つめている。 「一度実家に帰ります。」 「……どうなってんだよ、これ。」 「後で説明します。」 竹内天音は弟の手を引きそのまま踵を返した。 バラバラバラッとけたたましいヘリコプターのエンジンの音。 黒い車に乗り込む竹内蛍と竹内天音。 その異様な光景に、藍はボンヤリと突っ立っていることしか出来なかった。