先に目を逸らしたのは竹内天音の方で、彼女は無言で藍と竹内蛍の方にやってきた。
何だろう。
藍は思わず身構える。
「有田藍さん。」
「はっ、はい。」
じっと見つめてくる竹内天音の目に藍は思わず背筋を伸ばす。
「今回のことには感謝します。妖怪たちの邪な計画を阻止してくれてありがとうございます。」
「は、はぁ……。」
妖怪たちの邪な計画。
これはつまり、弓月たちが妖力を溜めていた風呂にスライムを落としてダメにしたことを言っているのだろうか。
「どのような方法で阻止したのか分かりませんが、本当に助かりました。」
あなたの弟さんが作ったスライムのおかげです、と言うのも変な感じがするので藍は曖昧な笑みを浮かべた。


