不滅の妖怪を御存じ?







目が覚めたのは、バラバラバラッという爆音が唐突にやってきた時だった。

藍は慌てて飛び起きた。

ずっともたれかかっていたからか右手と右頬がジンジンする。

外はもう真っ暗になっていたが、藍が乗る車にはいくつもの光が当たっていた。
眩しい。
寝起きの目にはとても痛く、状況が確認出来ない。


「おい、これ何だ?」


竹内蛍が焦ったように声を出す。
彼も寝起きなのか、いくらか声がまだるっこい。


「来たんだよ。」

「はぁ?」

伊勢千秋は冷静そうな声を出していたが、そこには動揺が感じ取れた。


「どうにかしてよ。君の家族。」


きっとその言葉に竹内蛍はポカンと口を開けていたのだろう。
伊勢千秋はチッと舌打ちをする。

藍は光に目が慣れてきたのか、外の様子が次第に分かってきた。
分かりたくなかった、と今では思うけれど。

いくつもの銃口が、藍が乗る車に向けられていたのだ。


「……姉ちゃんが?」


放心した竹内蛍がポツリとそう呟いたのと、拡声器のダミ声が聞こえてきたのはほぼ同時だった。