不滅の妖怪を御存じ?






「あんた、もうすぐ死ぬよ。」

一つ目小僧が藍のそばに寄ってきてケタケタ笑いながらそう言った。
その他の妖怪もニヤニヤ笑っている。

わけがわからない。
はぁ?と藍が困惑していると、耳慣れた声がした。


「お主ら。藍を殺めてはいかん。」

黒い羽根をバサリと動かし弓月がそう言った。
途端、チッと他の妖怪たちの舌打ちが聞こえた。


「……弓月。これはどういうこと?」

なんとか藍がそう尋ねると、弓月は横を向いた。

高い鼻がよく見える。
弓月の鼻は高いといつも思っていたが、天狗だったのか。
む、と眉根を寄せて弓月はゆっくりと口を動かした。


「時が来たのだ。」

「時?」

「そうだ。妖怪が再び、人間と戦う時。」


妖怪。
そういえばテレビで竹内天音もそんなことを言っていたな、と藍は思った。

竹内蛍は姉のことを変人だと言ったが、妖怪は本当にいたようだ。
藍自身も驚きすぎて何も考えられない。
少なくとも幻ではないようだ。