藍は、藍はどこだ。
周りに目を向ける。
何もかもが大きい。
見たことのない植物。
一メートル近い昆虫たち。
その異様な光景の中で、藍はぐったりと倒れていた。
隣ではダンがビクビクして辺りを見回している。
うごめく巨大な昆虫たちから、藍を守ろうとしているようだった。
「あの人間は死んだのか」
愉快そうにそう呟く九木に、有明は言葉を失った。
なんでだよ。
なんで起きねえんだ。
お前に何か考えがあるっぽかったからここまで付き合ってやったのに。
何で自分だけ先に退場してんだよ。
心の中で思いっきり藍を罵倒した。
しかし、藍は起きない。
実を言うと、藍は気絶しているだけだった。
恐竜が生きていた時代は酸素濃度が高い。
高すぎる酸素濃度で人は一瞬で気を失うのだ。
あらゆる生物が巨大化しているのも、酸素濃度が高いからだ。
けれど、そんなことを知りもしない有明は、藍が死んだと思いこんでいた。


